企業の生産性を語るうえで、従業員の健康管理も重要項目となってきました。以前より、健康増進法によって注意を払うようになっていましたが、従業員の健康が生産性にも大きく影響していることが分かりはじめました。コロナウイルスの影響で、在宅勤務(或いはテレワーク)が一般的になりつつありますが、在宅勤務で少し太ったことを実感し、普段の通勤や事務所内の移動(身体活動レベルⅡ)も意外と馬鹿に出来ないと思いました。
成人病患者が増え続ける中(弊社ウェブサイト2019.04.25掲載【成人病患者の数】参照)、テレワークの日の食事も注意しなければなりません。ますますストレスが溜まりそうです。
そのようなわけで、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)より、3大生活習慣病について抜粋しました。ものすごく長い内容なので、ドライフルーツに関係する栄養成分のみ抜き取りました。
全文を知りたい方は、こちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)より
高血圧(431ページ~)
栄養摂取と高血圧との関連について、特に重要なもの
図2 栄養素摂取と高血圧との関連(特に重要なもの)
<カリウムについての記述>野菜、果物、低脂肪乳製品が豊富な食事パターンであるDASH食(弊社ウェブサイト2010.08.11掲載【DASH食とドライフルーツ】参照)は、その血圧低下効果が証明されているが、
カリウムはその主要な栄養素の一つである。 介入試験のメタ・アナリシスでは、カリウム摂取量増加は高血圧者では有意な血圧低下効果を認めた。 コホート研究のメタ・アナリシスでは、カリウム摂取量が高いほど脳卒中のリスクが低下したが、
冠動脈疾患のリスクには有意の関連はなかった。 一方、近年、ナトリウム/カリウム摂取比あるいは尿ナトリウム/カリウム排泄比が循環器疾患リスクと関連することが報告されている。
すなわち、カリウムは、食塩過剰摂取の血圧上昇などの作用に拮抗していると考えられている。 2012 年のWHO のガイドラインでは、血圧低下及び脳卒中リスク低下のためにカリウム摂取量90
mmol(3,510 mg)/日以上を推奨しており、 また、WHO ガイドラインの推奨摂取量を達成した場合、ナトリウム/カリウム摂取比はほぼ1対1(単位はmmol/mmol)になり、健康への好影響をもたらすとしている。
なお、腎障害を有する者では高カリウム血症を来し得るので、カリウムの積極的摂取は避けるべきである。 以上の点から「高血圧治療ガイドライン2019」では、野菜・果物の積極的摂取を推奨している(カリウム制限が必要な腎障害患者を除く)
<食物繊維についての記述>DASH食では、野菜と果物を増加させており、食物繊維は要素の一つとなっている。「高血圧治療ガイドライン2019」では、野菜・果物の積極的摂取を推奨している。介入試験のメタ・アナリシスでは平均10.7
g/日の摂取量の増加で血圧は低下傾向を示し、高血圧者対象の研究や8 週間以上の介入期間の研究で有意な血圧低下を認めた。
脂質異常症(445ページ~)
栄養素摂取と脂質異常症との関連について、特に重要なもの
図1 栄養素摂取と脂質異常症との関連(特に重要なもの)
<食物繊維についての記述>67 の介入試験をまとめたメタ・アナリシスは、水溶性食物繊維摂取量は血清LDL コレステロールを低下させることを示している。
しかし、その効果は3g/日の摂取量の増加で5.0 mg/dL 程度の低下のため、水溶性食物繊維摂取量を増加させる現実的な意味はわずかかもしれないとしている。
糖尿病(461ページ~)
栄養素摂取と糖尿病との関連について、特に重要なもの
図2 栄養摂取と高血糖との関連(特に重要なもの)
<果糖(炭水化物)とGIについての記述>果糖はglycemic index が低いことなどから、糖尿病の管理には有効と考えられる反面、 過剰の摂取は、血中中性脂肪や体重の増加を来す懸念がある。先行研究では、果物の摂取(特にブルーベリー、ぶどう、りんごなどの果実含有換算)は有意に糖尿病発症率を低下させるが、果物ジュースは糖尿病発症のリスクを高めたとの報告もある。純粋な果糖の糖尿病状態への影響を検討した最近のメタ・アナリシスでは、1日100
g 以内であれば、果糖摂取によって血糖、中性脂肪レベルは改善し、体重増加は来さないとしている。糖尿病では果物の摂取を勧めてよいが、その量は病態による個別化が必要である。Glycemic
index(GI)及びGlycemic load(GL)と2型糖尿病の発症リスクの関係を検討したメタ・アナリシスでは、GI 及びGL の低い食材を摂ると、糖尿病の発症リスクが低減するとしている。日本人においても、低GI
及び低GL の食品の摂取量が多いほど、糖尿病発症リスクが減少したとの報告もある。しかし、糖尿病の管理、糖尿病における死亡率との関係については検討例が少なく、糖尿病患者の食事療法に積極的に取り入れるべきかどうかについては、現時点では十分な根拠があるとは言えない。
<食物繊維についての記述>食物繊維と生活習慣病を中心とする慢性疾患発症率との関係については、古くから検討されてきた。
最近のメタ・アナリシスでは、食物繊維との関係が認められる事象及び疾患として全死亡率、
心血管疾患、2型糖尿病、炎症性大腸疾患、全がん死亡率、中でも大腸がん、膵臓がん、
乳がんなど発症率に強い関連が報告されている。糖尿病の発症リスクとの定量的解析を試みたメタ・アナリシスでは、
食物繊維の平均摂取量は20 g/日を超えた時点から、有意な低下傾向が認められ、その内容を解析すると、
果物、野菜の繊維と糖尿病発症リスクとの関係は認められないと報告されている。
これに関係して、穀物の食物繊維が糖尿病発症リスクを低減するとする報告が多く見られるが、
他の食物繊維との関係は明らかではない。また、食物繊維の研究は、他の栄養素を絡めた形で検討されている場合が多く、
糖尿病発症に関わる繊維の種類や量を特定することは困難であるが、穀物繊維摂取を促すことは糖尿病の発症予防に有用と考えられる。
食物繊維の摂取が2型糖尿病患者の血清コントロールや重症化予防に及ぼす影響について、日本人を対象とした研究を見ると、
コホート研究として食物繊維が多いほどHbA1c のレベルが低いことが示されており、合併症との関係を後ろ向きに追跡した研究では、
心血管疾患の発症率が低下することが明らかにされている。食物繊維摂取量を増加させ、
血糖値などの変化を観察した15 の介入研究をまとめたメタ・アナリシスでは、平均18.3 g/日の増加で平均15.3 mg/dL の空腹時血糖の低下が見られた。
現在の日本人の平均摂取量が17〜19g/日であることと、以上の研究成果から、「糖尿病診療ガイドライン2016」では、
糖尿病における目標量を20 g/日以上とすることを推奨している。
アフターコロナの「ニューノーマル」に備えて、健康管理に気を付けることはこれまで以上に重要になりそうです。 3大生活習慣病予防のためにも、食事による効率の良い栄養摂取を改めて意識するように心掛けたいと思います。
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