【なつめやし(デーツ)は本当に聖書に出てくるのか?
(デーツが聖書と千一夜物語に出てくる話)】2020.05.28
誰もが聞くアダムとイヴ(聖書協会共同訳では、「エバ」と綴られている)は、旧約聖書の創世記2.17に出てきますが、神が食べてはいけないと言った禁断の実とは、実際には「善悪の知識の木」の実と表現されており、具体的な植物名はでておりません。ちなみに、それを食べた後、目が見えるようになって裸に気づいた彼らは、腰に巻くものをいちじくの葉で作りました。
聖書に出てくる食べ物ですが、モーセ五書では、パンの頻度が圧倒的で、次に頻度の多いものとしては、オリーブの油(&オリーブ)、ぶどう酒(&ぶどう)です。
我々が気になるその他の果実やナッツは? というと以下の通りです。
なつめやし(デーツ)ありました! 大昔から食べられているのですね。
また、歴代誌下28.15には、「なつめやしの町エリコの彼らの同胞のもとに・・・」と書かれているのですが、現在のイスラエルの死海の北端からすぐ北側にJerichoという町があります。実際に、その地域はなつめやしの畑がたくさんあり、弊社が輸入販売を行うイスラエル最大のデーツサプライヤーHADIKLAIM社の工場もその近く(Beit
Ha’arava)にあります。
食べ物の名 | 書かれているところ |
なつめやし | 出エジプト記15.27、民数記33.1(出エジプト記の内容を繰り返している) ”こうして、彼らはエリムに着いた。そこには泉が十二、なつめやしが七十本あった。” と書かれており、エリムの場所は、今で言うとエジプトのシナイ半島の西海岸、アスルに近い。 ※食べ方は書いていない(生鮮か干したものかは分からない) |
いちじく | 民数記(13.23、17.23)、申命記8.8 |
干ぶどう | 民数記6.3 |
ざくろ | 民数記(13.23、20.5)、申命記8.8 |
すいか | 民数記11.5 |
アーモンド | 創世記30.37、民数記17.23 |
ピスタチオ | 創世記43.11 |
ついでながら、同僚から聞いた話ですが、ディズニー映画の「アラジン」(Chapter5 17分くらい)で、市場の売り子がお姫様に向かって「ナツメヤシにイチジク、ナッツ買うならピスタチオ」(Sugar
date, Sugar dates and figs. Sugar dates and pistachios)と言っていたとのことです。(後で確認しました。)
「これはスゴいっ!」と思って、ガラン版千一夜物語(アラビアンナイト)を読んでみると、そのような場面は書かれていませんでした。(「干した果物」という表現はあったのですが、書かれている場面を記録するのを忘れてしまいました。)
ガラン版のこの物語を語った人は、ハンナ・ディヤーブというアレッポ出身のマロン派キリスト教徒のようですが、そういう意味では、本のほうが信仰に影響して出てきてもいいのでは?とも思いました。
ちなみに実写版『アラジン』の冒頭部分では、アラジンが盗んだ宝飾品をデーツ1袋と交換し、相棒のアブーに渡す場面が出てきます。(最終的には子供にあげています。)
それにしても、物語に深く関係することではないのに、ディズニー映画でこの場面を作った理由が知りたくなりました。
※ガラン版では、「アラジン、もしくは不思議なランプの話」というタイトルで、中国での出来事として描かれています(ディズニーでも、空飛ぶ絨毯で旅行?をしているとき、万里の長城がでます)。結末は同じですが、ストーリーはだいぶ違うので、両方楽しめます。
※デーツについての過去の記事はこちらご参照ください。
・デーツ・・・神秘的なオアシスの恵み(2012年8月23日掲載)