【異物混入問題】

昨年末、某有名カップ焼きそばでの虫混入、某ファーストフード店での異物混入などのニュースが世間を騒がせ、消費者の間で不安が広がっています。

当社も「食品」に携わっておりますので、他人事ではありません。

このような報道が増えたということは、最近は食品への異物混入が増えているということなのでしょうか? つい先日1月26日に国民生活センターが発表した 「食品の異物混入に関する相談の概要」に掲載されているデータでは、食品の異物混入に関する相談件数はここ数年、 2013年を除いては1,500~1,800件の間で推移しており特に増加してきているというわけではないようです。



※参照 独立行政法人国民生活センター
    平成27年1月26日 報道発表資料より

2013年のみ6,219件と突出しており、このうち3,583件は冷凍ピザへの農薬(マラチオン)混入事件に関するものだそうです。農薬混入は悪意を持って意図的に混入されたフードテロであり、健康被害に結びつく重大な事例のため、連日マスコミで報道されました。そのため、消費者の不安が増加し相談件数が増えたのは当然かと思います。

食品の安全に関するニュースなどが多く報道されると、消費者の食に関する意識が高まり、それに伴って相談・苦情が多くなるようです。そのため、実際に異物混入の件数が増えているのかどうかの実数の把握は難しいのではないでしょうか?消費者の食に関する意識の高さに応じて、異物混入があっても、健康被害がないと消費者が判断すれば相談や苦情をあげない事例がデータとして表に出ない形で多数あると考えられます。

仕事柄、食品製造の現場に行くこともありますが、製造現場での衛生管理・安全管理はとても厳しく、レベルの高いものが徹底されていると個人的には感じております。それでも、様々な要因で異物混入を0にすることは出来ないので、現場では異物混入を未然に防ぎ、異物を発見・除去するための対策を実施することで発生率を落とすことに注力しています。実際に製造の現場を見ると、「そんな細かいところにまで気を使っているのか!」と驚かせられることがとても多いのです。


製造現場ではそんなに頑張っているのだから、健康被害のない異物があったときには消費者は黙認してあげれば良いのに、と言いたいわけではありません。製造現場でのチェックをすり抜けて混入してしまった異物があった場合、最終的な消費者から連絡がなければ、どこで異物が混入してしまったのか?異物の物質はどんなもので、どうして異物混入が発生してしまったのか?が把握できません。消費者からの報告(それがクレームであっても)がなければ、製造現場での異物混入対策は進化せずに、同じような異物混入が連続して発生してしまうかも知れないのです。原因がわからないまま無駄な設備投資や人員の増員などをした結果、場合によっては製造コストが上昇し、商品価格に転嫁され、製造者、消費者双方に不利益が生じてしまうことになりかねません。

異物混入の製造者への連絡、報告は、異物混入を減らすための最も重要な要素であると思います。当社も昨年よりOEM製造にてコンシューマー製品の販売を開始いたしました。例え苦情であっても、お客様からのお声は「連絡いただいて大変ありがたい」と真摯に受け止めなければ、と改めて肝に銘じた次第です。






ページトップ