【気になるトランス脂肪酸】
欧米では使用規制や、食品含有量表示が義務付けられている「トランス脂肪酸」。
日本でも栄養表示が検討されていますが、単純にトランス脂肪酸=悪と捉えてしまってよいのでしょうか?
・・・トランス脂肪酸とは?・・・
栄養成分にある脂質とは、油脂(常温で液体の「油」と個体の「脂」を指します)や脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどをあわせた呼称です。 脂質のなかの脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分かれます。
体に良いとされる不飽和脂肪酸は、構造の違いによりシス型とトランス型(トランス脂肪酸)の2種類があります。
このトランス脂肪酸は食品からとる必要がないと考えられており、取り過ぎた場合は悪玉コレステロールが増えて、善玉コレステロールが減ることが報告されています。
WHOは、一日当たりのトランス脂肪酸の平均摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とすることを求めていますが、日本人の一日当たりの平均摂取量は0.3%~0.6%程度となっています。ただし、脂肪の多い菓子類や食品の食べ過ぎなど偏った食事をしている方は、これを上回る可能性があるとされています。
・・・どんな食品に含まれているの?・・・
天然の不飽和脂肪酸はふつうシス型で存在しますが、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中に天然に微量のトランス脂肪酸が含まれています。これは、反芻(はんすう)動物の胃の中の微生物の働きによって作られます。
加工・精製によってトランス脂肪酸が作り出される場合があります。 マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングのように「水素添加」によって製造されるものや、それらを原材料に使ったパンや洋菓子、揚げ物に含まれています。
また、植物から油を搾る際に、高温で処理をするとシス型からトランス脂肪酸ができるため、サラダ油などの精製した植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれています。
※油脂加工でできるトランス脂肪酸と天然にあるトランス脂肪酸では、健康に及ぼす影響に違いがあるのかどうか、また、たくさんの種類があるトランス脂肪酸の中でどのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすのかについては、十分な証拠がありません。
ただし、日本人の場合はトランス脂肪酸よりもむしろ食塩の取り過ぎが問題のようです。
健康に関する情報が多すぎるため何が良いのか混乱してしまいますが、一つのことにとらわれずに冷静に判断したほうがよさそうです。
そういえば、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸では、イメージ的に不飽和脂肪酸が良いように思われますが、体脂肪として蓄積されないということで、このところ話題の中鎖脂肪酸は飽和脂肪酸になります。
参照元「農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸」
<バックナンバー>「ナッツと脂肪酸」
http://www.sankaico.com/ans/ansclm-12.html